育児休業給付金80%支給へ!2025年の制度改正とメリットを徹底解説

 

育児休業給付金は、子どもが生まれた親が育児に専念するために休業した際、一定の収入を確保するために支給される制度です。近年、政府は少子化対策や男女共同参画社会の実現に向け、育児休業給付金の支給率を現行の67%から80%に引き上げる改正を行う予定であり、この新制度は2025年4月から施行される見通しです。この改正について、背景や具体的な内容、期待される効果、課題について詳しく解説します。

背景

育児休業給付金は、育児と仕事の両立を支援するための重要な政策手段です。しかし、これまでの制度では、特に男性の育休取得率が低い状況が続いていました。厚生労働省のデータによると、2023年度の男性の育休取得率はわずか17.3%にとどまっています。これは、育休取得による収入減少が大きな障壁となっていることが主な原因とされています。

また、日本の出生率は長期的に低下しており、2023年の合計特殊出生率は1.26と過去最低水準を記録しました。このような状況を受け、政府は育児休業給付金の拡充を通じて、育児に対する経済的負担を軽減し、出生率の回復を目指しています。

新制度の概要

改正後の育児休業給付金制度では、支給率が現行の67%から80%に引き上げられます。さらに、出生後8週間以内に取得する育児休業(最大28日間)には、追加で13%が支給される「出生後休業支援給付金」が新設されます。この結果、該当期間中の給付率は実質的に合計80%となります。

支給条件
  1. 育児休業取得の要件
    • 子どもの出生後1年以内に取得可能(特別な場合は最長2年まで延長可能)。
    • 夫婦で育休を取得する場合に特典が適用される。
  2. 収入補填の仕組み
    • 通常の育児休業期間中は、賃金の80%が支給されます。
    • 出生後休業支援給付金の対象期間では、追加で支給されるため、手取り額が100%に近づきます。

期待される効果

1. 男性の育休取得率の向上

新制度では、特に男性が育児休業を取得しやすくなることが期待されています。従来の67%の支給率では、育休取得による収入減少が家計に与える影響が大きく、取得に消極的な男性が多い状況でした。支給率が80%に引き上げられることで、家計への影響が緩和され、男性の育休取得率が上昇すると予想されます。

2. 少子化対策への寄与

育児休業給付金の拡充は、少子化対策としても重要です。育児に対する経済的負担が軽減されることで、子どもを持つことへの心理的なハードルが下がり、出生率の向上に寄与する可能性があります。

3. 育児と仕事の両立の支援

育児休業中の収入保障が強化されることで、育児と仕事の両立がしやすくなります。特に共働き家庭では、育休取得が家計に与える影響を最小限に抑えられるため、安心して育児に専念できる環境が整います。

課題

1. 財源の確保

育児休業給付金の拡充には、膨大な財源が必要です。現行の支給率を13%引き上げることで、年間数千億円規模の追加負担が見込まれています。この財源をどのように確保するかが大きな課題となります。保険料の引き上げや税金の増収など、国民負担が増える可能性もあります。

2. 企業の協力

男性の育休取得を促進するためには、企業側の理解と協力が不可欠です。しかし、特に中小企業では、人手不足を理由に育休取得を認めないケースも多く見られます。企業への助成金の拡充や、育休取得に伴う業務のカバー体制の整備が求められます。

3. 制度周知の必要性

新制度の内容を十分に理解している人が少ない現状では、育児休業給付金の利用率が低下する可能性があります。政府や自治体による積極的な広報活動や、職場での説明会の実施など、制度周知の取り組みが重要です。

まとめ

育児休業給付金の80%への拡充は、育児と仕事の両立支援や少子化対策として大きな期待が寄せられています。一方で、財源確保や企業の協力、制度の周知など、解決すべき課題も多く存在します。新制度が円滑に運用されるためには、政府、企業、そして社会全体の理解と協力が欠かせません。この改正を契機に、男女が育児と仕事を両立しやすい社会が実現することが期待されます。